社会の芸術/芸術という社会 社会とアートの関係、その再創造に向けて

社会の芸術フォーラム運営委員会(編)
2016

社会の芸術/芸術という社会「社会の芸術フォーラム」は、社会学の研究者、北田暁大と芸術学・美術教育学の研究者、神野真吾らが2015年に立ち上げた、社会と芸術の関係を問い直すための研究と実践のためのプラットフォーム。本書は、これまでフォーラムで議論された「表現の自由・不自由」「多文化主義」「包摂と排除」「搾取」「公共性」という5つのテーマを軸に、関連する論考、対談、フォーラム総括を収めたものだ。ここで言う芸術とは現代美術とほぼ同義で、主に社会学の観点から、社会における現代美術の在り方をめぐる様々な問題が提示されている。「公共性」の章にSEAに関する言及があり、竹田恵子による「ソーシャリー・エンゲイジド・アートとしての90年代京都における社会/芸術運動と『S/N』」と題するエッセイは、ダムタイプのメンバーだった古橋悌二のHIV感染をきっかけに京都で展開したエイズ・アクティビズムとパフォーマンス作品『S/N』を、パブロ・エルゲラのSEA解釈に基づいて論じたもので、日本におけるSEAを掘り起こす上で示唆に富む。