Art-Led Participatory Processes: Dialogue and Subjectivity within Performances in the Everyday
シンガポール生まれのジェイ・コーは、20年にわたってアジアとヨーロッパ各地で市民参加型SEAプロジェクトやサイトスペシフィック・レジデンシーに取り組んできたアーティス ト/キュレーターである。彼はまた、University of the Arts Helsinkiの大学院で、これまで自らがミャンマー、フィンランド、アイルランドなどで行ったプロジェクトの実践経験から、アートが主導する市民参加の理論的フレームワークを独自に考案する博士研究に取り組み、その論文に基づいて本書を出版した。Art-Led Participatory Processes(ALPP)とは彼が提唱するフレームワークの名称で、ミハイル・バフチンの対話理論を援用しながら、キーコンセプトとして①関係構築のための対話、②ソーシャル・エンゲイジメントとしての参加、③社会化による参加者の主観性構築、④出会いと交渉の場としての日常におけるパフォーマンス、という4要素を提示。最終章では、ブリオーのリレーショナル・アート、フレイレの批判教育学、ボアールの「被抑圧者の演劇」手法と比較しながら、ALPPの特徴を述べている。「Art and Answerability in Jay Koh’s Work」と題する序文は、ジェイと長年親交のあるグラント・ケスターが寄稿している。
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