SEAラボブログ

リー将軍の銅像を溶かして、コミュニティのためのパブリック・アートに

2025年03月26日

2020年、ミネソタ州ミネアポリスで白人警官の過剰な暴力によって黒人男性が殺害された事件(ジョージ・フロイド事件)を引き金に、ブラック・ライブス・マター運動が全米で加熱し、それと呼応して、人種差別・白人至上主義を象徴する記念碑の破壊運動が急増した。その先駆けとなった出来事が、2017年のシャーロッツビル事件だった。

シャーロッツビル市中心部の公園に100年近く立っていたリー将軍の銅像

ヴァージニア州シャーロッツビルは、合衆国第3代大統領のトーマス・ジェファーソンの出身地で、ジェファーソンの私邸のモンティチェロは、世界遺産にも登録された人気の観光スポットになっている。また4第代大統領のマディソンと第5代大統領モンローの邸宅も近くにあり、市は3人の元大統領を称えて市庁舎の外壁に彼らの像を設置している。しかし、シャーロッツビルで最も目立つパブリック・アートは、市と何の関係もない、南軍の将軍、ロバート・E・リーを記念して慈善家が寄贈したブロンズ像だったという。この像は、南北戦争後に南部の白人たちによって広められた「失われた大義」という、南部連合の戦いを英雄的で正当なものとし、戦争の原因や結果を美化するイデオロギーを体現するものだった。

2017年2月に市議会は彫像の撤去を決議した。これに抗議して、同年8月、白人至上主義者、ネオナチ、KKK、オルタナ右翼などが市に押し寄せて「ユナイト・ザ・ライト・ラリー」を開催すると、対抗する人種差別反対派と激しい衝突が起こり、死者も出る事態となった。

その後、銅像撤去は、差し止めを求める団体の提訴などでなかなか進まなかったが、ついに2021年に実現し、市はその像をジェファーソン・スクール・アフリカン・アメリカン・ヘリテージ・センター(アフリカ系アメリカ人の歴史・文化・遺産の保存と教育を目的とする非営利団体/JSAAHC)に寄贈した。JSAAHCは、この像を溶かしてインゴット(鋳塊)にし、それを素材に、人種的包摂、美、癒やしを表現する新しいパブリック・アートに作り変えるプロジェクト「剣を鍬に(Swords Into Plowshares)」を地域の賛同を得て立ち上げた。

解体した銅像を溶解 © Eze Amos Photography
溶解してインゴットに © Eze Amos Photography

プロジェクトは現在、作品をデザイン、製作、設置するアーティスト/チームを公募している。RFQの提出期限は4月24日、6月17日に最大5名のセミファイナリストが発表される予定だ。セミフィナリストには、それぞれ1万ドルが支給され、シャーロッツビルを訪れてサイトの視察、地域住民や歴史家との交流などを経て、設計案を作成する。https://www.sipcville.com/callforartist

溶解した銅像からつくられたインゴット。SWORD INTO PLOWSHARESの文字が刻まれている  © Eze Amos Photography

「剣を鍬に」は、『旧約聖書』イザヤ書2章4節から発想したプロジェクト名だという。
 主は国々の争いを裁き、多くの民を戒められる。
 彼らは剣を打ち直して鋤とし、槍を打ち直して鎌とする。
 国は国に向かって剣を上げず、もはや戦うことを学ばない。

この試みは、ペドロ・レイエスが発砲事件の絶えないメキシコの都市で行った「ピストルをシャベルに」と似た発想だが、レイエスが「死の道具がいかに生の使者になるか」を示したとすれば、http://searesearchlab.org/case/reyes.html、シャーロッツビルの新しいアートは、過去の長い歴史を断ち切り、民主主義の価値観を示すものになるだろう。もちろん、それが白人至上主義者からの攻撃を受けるリスクは否定できないが、地域社会の参加を力に、真のソーシャリー・エンゲイジド・アートが実現することを期待したい。

2025.3.26(秋葉美知子)

教育分野で注目される「気候変動詩」

2024年10月18日

図画工作・美術の教科書で全国的に高いシェアを持つ日本文教出版が、主に教師向けに発信している「まなびと」というWebマガジンがある。美術、人権、共生社会、PBS(Project Based Learning)など9つのトピックを設定して、それぞれの専門家が執筆する記事が掲載されている。その中の一つがESD(Education for Sustainable Development)で、聖心女子大学現代教養学部教授の永田佳之先生とその研究室が、「SDGs達成に向けて」をテーマに、世界の最新事情を発信している。永田先生は学部の授業で、毎年末のCOP開催の時期に合わせて「気候変動詩」をつくる試みをされていて、「まなびと」のWebマガジンでもしばしば取り上げられている。

最新の投稿では、「エコポエトリーの挑戦」と題して、詩作を通して気候危機の時代を乗り越えようとする試みが同時多発的に世界各地で見られることが報告されている。

「SEL(Social Emotional Learning)を推進するにあたり、アートに基づいた手法(art-based approach)はこの上ない可能性を開きます。……数多くある芸術活動においても、さしたる道具も必要とせずに取り組める詩作はだれもが日常で試みることのできる気候アクションでもあるのです」(本文より)

日本の事例として、アート&ソサイエティ研究センターの昨年プロジェクト「気候アクションSUMIDA」の取り組みが紹介され、「人々の意識や行動の変容に一役買ったにちがない」との評価をいただいた。

エコポエトリーという手法、その可能性や広がりに、今後も注目したい。

2024.10.18(秋葉美知子)

ア・ブレイド・オブ・グラス(ABOG)が再始動

2024年09月25日

ニューヨークを拠点に、ソーシャリー・エンゲイジド・アート支援に特化した助成で定評のあったNPO、ア・ブレイド・オブ・グラス(ABOG)。コロナ禍の影響を受けて、中心事業のフェローシップ・プログラムを2020年度を最後に廃止せざるを得なくなった。その後、実践者主導の組織に改編して、多方面にわたるリサーチやリスニング・セッションを行い、SEAのアーティストが何を必要としているか、そのニーズを継続的に満たす組織はどのようなものかについて議論を重ね、再始動を目指していた。

その成果がようやく発表されてきたが、注目したいのは、Landscapesと題するオンライン・ジャーナルだ。そのコンセプトは、以下のように記されている。

Landscapes は、A Blade of Grass がソーシャル エンゲージド アートのエコシステムを探求するために作った柔軟なデジタル プラットフォームです。各号は、ゲスト・コラボレーターによって形作られ、それぞれの視点からその分野に関する見解が提示されます。Landscapes は、会話、テキスト、プロジェクトを委託します。

毎号テーマを設けて対話や寄稿を依頼するようで、第1号のテーマは「Another Way」。そのメインコンテンツは、アーティストでSocial Practice CUNYの教授でもあるクロエ・バスが、アーティストに対して投げかけた以下の12の質問で、4人/組のアーティストが返答している。

  1. もし私たちが実践活動に投資するのと同じくらい人間関係に気を配ったらどうなるでしょうか?
  2. もし私たちが人間関係で示すのと同じくらい、実践活動に注意を払ったらどうなるでしょうか?
  3. 否定的な関連性 (つまり、あなたが何でないかを私に伝えること)で、あなたの実践的/芸術的所属を定義できますか? 肯定的な関連性 (つまり、あなたが何であるかを私に伝えること)で、あなたの実践的/芸術的所属を定義できますか?
  4. 芸術という分野が総体として持っているかもしれない、あるいは持っていないかもしれない義務(あるいは芸術とは何か、一般的に芸術がしなければならないこと、してはいけないこと)を忘れてください。あなたの作品が特別に負っている義務は何ですか?
  5. あなたの実践は、それ自体の存続のために機能していますか、それとも時間の経過とともに目立たないものになろうとしていますか?
  6. 芸術的実践において、自分が誠実であることを最も意識するのはどんな時ですか? あなたの作品におけるフィクションの役割は何ですか?  嘘の役割は何ですか?
  7. どこで、誰から、どのように仕事を学びましたか? それはあなたやあなたの今の活動にどのような影響を与えていますか?
  8. 自分の仕事のやり方や制作する作品について、何を学び直したい、あるいは変えたいと思っていますか?
  9. 欲望はあなたの創作活動をどのように形作ったり、影響を与えたりしますか? あなたは自分が何を望んでいるかをどうやって知りますか?
  10. 妄想はあなたの創作活動をどのように形作ったり、影響を与えたりしますか? あなたは妄想を共有できますか?
  11. あなたがどうしても手放せない疑問は何ですか?
  12. もしあなたが突然方向転換して、まったく別のことを始めることができるとしたら、それは何でしょうか?

これらの質問、日本のアーティストの回答も聞きたいものです。

[参考記事]
ABOGの創設者デボラ・フィシャーがエグゼクティブ・ディレクターを辞任
ABOGがコロナ危機を生き残るために大幅リストラ
ABOGのデホラ・フィッシャー、NYのロックダウン下で自らの思いを述べる
ア・ブレイド・オブ・グラス2020年度フェローシップの募集概要

2024.9.25(秋葉美知子)



ニューヨーク市立大学で、SEAをテーマとしたポッドキャスト始まる

2024年08月30日

ニューヨーク市立大学(CUNY(キューニー))の大学院センターを拠点とするSPCUNY(Social Practice CUNY)は、芸術を社会正義とアクティビズムに結びつけることを目的に、2021年にメロン財団の助成を得て創設された、ソーシャリー・エンゲイジド・アートの理論と実践の場を提供する学際プログラムだ。クイーンズ・カレッジ美術学部の教授でアーティストでもあるグレゴリー・ショレットとクロエ・バスが共同ディレクターを務めている。
以前、このブログで、ショレット教授のゼミナールは、シラバスや参考資料がウェブサイトで公開されていて非常に勉強になることを紹介したが、この8月、SPCUNYネットワークのアーティスト、学者、コラボレーターたちの生の声を聞くポッドキャスト「Part of the Practice」がスタートした。CUNYの副ディレクー、キャサリン・ラソータがホストを務め、隔週水曜日に新しいエピソードが配信される。すでに、ショレットとバスが語るEP.01「What is Social Practice CUNY?」と、ミクストメディア・アーティストでハンター・カレッジの映画・メディア学科准教授のリカルド・ミランダ・ズニカを迎えたEP.02「Evolution of a Practice in the Public Sphere with Ricardo Miranda Zúñiga」がアップされている。対話を書き起こしたテキストも掲載されているのはとてもありがたい。「アートと社会正義の交差点」を謳うこのポッドキャストからSEAの背景や現状が語られることに期待したい。

2024.8.30(秋葉美知子)

女性アーティストのアーカイブAWAREのサイトに日本語ページが誕生

2024年06月12日

2014年にフランスで創設された非営利団体AWARE: Archives of Women Artists, Research & Exhibitionsのウェブサイトをご存じだろうか。名称どおり、女性アーティストの経歴紹介や関連記事を中心としたアーカイブで、1664年から1974年の間に生まれ、視覚芸術の分野で活躍した/している女性およびノンバイナリーのアーティストを、表現媒体や国の制限なく紹介している。その目的は、美術史のなかで長い間軽視されてきた女性アーティストたちを可視化することだという。

日本の女性作家についても、その経歴や研究記事が、日本語のテキストをフランス語や英語に翻訳したかたちで掲載されていたが、6月5日に、日本語セクション「AWARE-日本」が開設され、日本語でも読めるようになった。トップページの「最近公開された作家」というのは、最近アーカイブに加わり経歴が公開された作家という意味で、すでに収録されているアーティストは、ページ上部の「作家」ボタンをクリックすると、リストが表示される(現時点では20作家)。

世界の全ての収録作家リスト(フランス語と英語)は、AWARE本体のトップページ上部の「INDEX」ボタンから、作家名だけでなく、表現媒体、国、活動年代などでも検索できる。その情埋蔵量の多さと張り巡らされたリゾーム……入り込んだら出られなくなるようなサイトです。

2024.6.12(秋葉美知子)

アクティビスト・ミュージアム・アワード

2024年03月25日

博物館学の分野における最先端の研究で知られる英国レスター大学の博物館・美術館研究センターが、「Activist Museum Award」という賞を設けていることをご存じだろうか。この賞は、40年にわたってミュージアムの世界で研究、出版、コンサルティングなど幅広い活動を続けてきたロバート・R・ジェーンズとレスター大学の博物館学教授リチャード・サンデルが2019年に編集・出版した『Museum Activism』に提示した考えに基づいて活動するミュージアムやミュージアムとともに活動する個人またはグループに贈られる。この本に提示された考え方とは、当サイトの「参考文献」でも紹介しているように、“ミュージアムの中立性”はもはや神話であり、不平等、不正義、地球環境の危機が深刻化するこの時代に、ミュージアムは現実世界のさまざまな課題に深く関わり「文化変革のための能動的エージェント」へ変身すべきだという、いわば「ソーシャリー・エンゲイジド・ミュージアム」の提唱である。

3月4日に2024年の受賞者が発表され、以下の2ミュージアムと1つのコレクティブが選ばれた。

Museum X(英国・ロンドン):ロンドンに拠点を置くミュージアム X は、人、場所、物語を集めてアイデアを試し、まったく新しい方法でアフリカとカリブ海の遺産を再考する実験的な博物館。

Salt Museum(ギリシア・メソロンギ):ギリシアの塩の名産地であるメソロンギにあるソールト・ミュージアムは、教育と啓発を通じて持続可能な塩の採取を促進するために活動している。

Lusophone Museum of Sexual Diversity(国際的コレクティブ):ルソフォン・ミュージアム・オブ・セクシュアル・ダイバーシティは、ポルトガル語を公用語とするアフリカ、アメリカ、アジア、ヨーロッパの 10 ヵ国・地域にわたる LGBTQ+ コミュニティの歴史を復元し、現在を再確認し、未来をデザインするために活動している。

各受賞者への賞金は1,000ポンド(約19万円)と少額だが、それぞれのミッションや活動が注目を集め、潜在的な協力者やコミュニティに波及することが期待されるアワードである。

2024.3.25(秋葉美知子)

エコポエトリーに特化したサイトEcopoetikon

2024年02月29日

昨年アート&ソサイエティ研究センターは、「気候アクションSUMIDA―川辺から、詩と映像によるメッセージ」と題するプロジェクトを主催し、ますます深刻になる気候変動の問題にクリエイティブなアプローチで取り組んだ。そのドキュメントは、特設サイトで紹介しているので、ぜひご覧いただきたいが、このプロジェクトのコアとして、気候変動、地球環境、川や水をテーマとする詩を公募したところ、幅広い地域・年齢層から多様な視点、多様な語り口で書かれた作品が寄せられ、「詩」という表現形式の豊かな可能性をあらためて感じることとなった。

Ecopoetikonホームページ

そんな中で、Ecopoetikonというエコポエトリーに特化したウェブサイトが、2023年9月に開設されたことを知った。英国で最もサスティナブルな大学と評価されているグロスターシャー大学を拠点とするチームによるプロジェクトだという。ここでのエコポエトリーは、絡み合う社会的危機と生態学的危機は同じ根を持っているという認識から、「エコロジーと社会を意識して書かれた詩」と定義され、その重要な役割は「エコロジー問題に対する意識を高め、自然界の美しさを明らかにし、生命の神聖さを称え、人間を超えた世界についての人々の認識を変える」ことだと述べている。

そして、地球に影響を及ぼす問題の多くは、本質的にグローバルなものであることから、グローバル・サウス、グローバル・ノース双方の詩人が平等に自らの表現を発表する場を目指しているという。

世界地図からエコ詩人を検索したり、テーマ(Oceans、Nature-connection、Pollution-waste、Un-natural-weather-disaster、Rivers-wetlands、Trees-forestsなど)からエコポエムを検索して読むことができることに加え、サブスクライブ登録をすれば、学校などで利用できる教育素材をダウンロードすることもできる。

2024.2.29(秋葉美知子)

パブリック・アート専門誌から形を変えたデジタル・マガジンFORWARD

2024年02月16日

非営利のアート組織FORECASTは、米国ミネソタ州セントポールを拠点に、公共の場で活動するアーティストを支援している。創立は1978年で、1989年から全米唯一のパブリック・アート専門誌『Public ArtReview 』を出版していた。この雑誌は私たちも長く購読していたが、2020年に廃刊となり、その後パブリック・アートにとどまらず、より広いSEAに関わるテーマを特集するデジタル・マガジンFORWARDに形を変えて、無料公開されている。

FORECASTウェブサイトより

最新の第6号は「気候」がテーマだ。気候変動に取り組むことは、環境問題にとどまらず、社会正義と人権の問題に取り組むことでもあり、それを知らしめるためにも、アーティストたちの役割が重要性を持つことをさまざまな事例を紹介しながら論じている。ケーススタディのページでは、「大気汚染」「猛暑」「洪水」「気候変動による住民の強制移住」の4つの問題について、アーティストたちが科学者、大学、政策立案者、コミュニティなどと共同で行った11のプロジェクトが豊富な写真とともに紹介されている。

その中で驚いたのは、米国のFEMA(フィーマ)にアートプログラムがあるということ! FEMAとは、洪水、ハリケーン、地震、原子力災害を含む大規模災害に際して、連邦機関、州政府、その他の地元機関の業務を調整する「アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁」のことで、日本でも激甚災害が起きるたびに、類似した専門組織を創設すべきだという声が上がる。しかし、体制が整備されるとしても、その組織は、「アートを活用してエモーショナルに洪水のリスクを人々に伝え、災害の低減につなげよう」などという発想を持てるだろうか。

2024.2.16(秋葉美知子)

「詩」の力で、気候危機に向き合う意識を高め、アクションにつなげよう

2023年05月30日

アート&ソサイエティ研究センターでは「気候アクションSUMIDA~川辺から詩と映像のメッセージ」と題して、ますます深刻になっている気候変動をテーマに、官・民・学のコラボレーションでSEAプロジェクト展開している。
川に囲まれた東京都墨田区に拠点を設け、アート、サイエンス、建築、デザイン、ランドスケープ、まちづくりなど、分野横断で、気候アクションにつなげようという試みである。
そのコアとなる企画として、気候変動がもたらす危機を知り、川や水、地球環境について思いや考えを表現する詩(クライメート・ポエトリー)を広く一般公募している。

2014年の国連気候変動サミットで、マーシャル諸島の気候変動活動家で詩人でもあるキャシー・ジェトニル=キジナーさんが、生まれたばかりの自分の娘に宛てた詩を披露して絶賛され、詩は演説にも増して人の心に訴える力を持つことが示された。

気候変動、気候危機をテーマとした詩は海外にはどれほどあるだろうかとネット検索してみた。するとこのテーマについて書かれた詩を特集するサイトがいくつも見つかった。アメリカ詩人アカデミーのサイトpoets.orgには、「Poems about Climate Change」というページが設けられ、気候変動や関連するトピックについての詩が50編以上紹介されている(作者の解説付きの詩もある)。気になるタイトルの詩をChatGTPで和訳してみると、象徴的で難解な表現でも、書き手の世界観を共有することができる。

気候変動がもたらす危機は、将来の世代の子どもたちに重大な影響を与え、さらに低・中所得国の子どもたちがより大きな損失・損害を被ることが明らかになっている。子どもの支援を行う国際NGOセーブ・ザ・チルドレンが気候研究者の国際チームと共同で発表した、報告書『気候危機の中に生まれて』には、ザンビアの15歳の少女、ジャスティーナさんの詩が掲載されている。その中に、誰も否定できない、心に刺さる一節があった。
「私たち人間が問題を引き起こしたのであれば、同時に問題の解決者にもなれる。」

セーブ・ザ・チルドレンが、ブリュッセル自由大学を中心とした気候研究者の国際チームと共同で発表した報告書『気候危機の中に生まれて』

2023.5.30(秋葉美知子)