Memorial Mania: Public Feeling in America

Erika Doss
2010

memorial maniaここ数十年、米国では雨後の竹の子のようにメモリアルの設置が増えているという。メモリアルとは、人物や出来事を記念したり哀悼したりする記念像・記念碑だけでなく、悲劇の現場に自然発生的に捧げられる花や供物なども含み、その設置の背後には、記憶と歴史を目に見える表現として残したいという“強迫観念”があると著者(アメリカン・スタディーズの研究者)は言う。メモリアルを出現させる感情的要因を「悲しみ」「恐怖」「感謝」「恥辱」「怒り」に分類し、多くの事例をあげながら、アメリカ文化に染み込んだ“affect(心理学的感情)”を分析する。さらに、多文化主義、アイデンティティ・ポリティクスと関連して、「誰のためのメモリアルか」についての議論も興味深い。