Radical Museology: or What’s ‘Contemporary’ in Museums of Contemporary Art?

Claire Bishop
2013

41tNBGsVrbL__SX349_BO1,204,203,200_ブリオーのリレーショナル・アート批判で知られるクレア・ビショップによる、“ソーシャリー・エンゲイジド・ミュージアム論”ともいうべきエッセイである。芸術文化がネオリベラリズムに組み込まれていく今日、現代美術館は“bigger is better and richer”という価値観に支配され、有名建築家によるアイコニックな建物やブロックバスター展覧会を売り物に、レジャーとエンターテインメントの殿堂と化している。その一方で、より実験的で、より政治的に歴史と向き合う、ラディカルな美術館が出現していることに筆者は注目する。モデルとして紹介されているのは、アイントホーフェン(オランダ)のファン・アベ美術館、マドリード(スペイン)のソフィア王妃芸術センター、リュブリャナ(スロベニア)のメテルコバ現代美術館。3館とも、独自の歴史観を表明するコレクション展示を重視している点や、ありがちな鑑賞教室・ワークショップを超えた教育プログラムを特徴とし、“1%”を象徴するミュージアムではなく、周縁化され抑圧された人々の歴史や関心に基づいて「現代性」探求する現代美術館を目指している。読むうちに、これらの美術館に行きたくなってしまう小論だ。