Strike Art: Contemporary Art and the Post-Occupy Condition

Yates McKee
2016

strike art2011年9月17日から約2ヵ月間、若者を中心とする市民がニューヨークのウォール街そばのズコッティ公園を占拠、“We are the 99%”をスローガンに、拡大する経済格差への抗議行動を展開した「オキュパイ・ウォールストリート(OWS)」には、アーティストが多数参加し、重要な役割を果たしていた。本書は、この運動の参加者でもある筆者が、ドキュメントに基づきながら、OWSをアクティビズムとアートの交差点として論じ、そこで得られたものがその後に続く抗議運動(Occupy Homes、G.U.L.F.、Flood Wall Street、Black Lives Matterなど)に与えた影響を考察している。クレア・ビショップが「読み出したらやめられない」と評しているように、内側からのOWSの物語は面白いが、それ以上に、1980年代末のエイズ・アクティビズム(ACT UPの活動)から、1999年のWTOシアトル会議における反グローバリゼーション・デモ、さらに2011年のクリエイティブ・タイムによる「リビング・アズ・フォーム展」まで、現代アート(とその制度)とポリティクスの結びつきをOWS前史としてたどった第1章は非常に勉強になる。