The Everyday Practice of Public Art:Art, Space, and Social Inclusion
野外彫刻や壁画を超えて拡張してきたパブリック・アートの概念は、いまやソーシャリー・エンゲイジド・アートと大きく重なり、その議論はますます学際的になっている。本書は「The social practice of public art」「The education of public art」「The spatial fabric of art and social practice」という3つのトピックで編集された13編によるアンソロジー。写真を多用したパブリック・アートのカタログ的な書籍ではなく、セオリーから事例に基づく方法論、著者の体験記まで、SEAに深く関わるテーマを扱った多様なテキストが収められている。スザンヌ・レイシーらが「ニュージャンル・パブリック・アート」のコンセプトを生みだした経緯を語るキャメロン・カルティエのエッセイや、SEAに焦点をしぼったアーティスト主導のコンファレンス「オープン・エンゲイジメン」トの創立者ジェン・デロス・レイエスの手記、 J.ラングロア&D.サベッリによる論考「アンタゴニスティック・スペース」など興味深い。また、巻末には、1950年から2015年までの「ソーシャリー・エンゲイジド・パブリック・アート」年表(写真入り)が付属しており、SEAの歴史研究には非常に参考になる。
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