Beyond Objecthood: The Exhibition as a Critical Form since 1968
現代の美術のエキシビション(展示会)は、美術館やギャラリー空間の中に配置されたオブジェクトを鑑賞者が受動的に見るだけのものではなく、展示空間が制作の場になったり、施設の外で、人々の参加・協働を得て行われることも普通になっている。さらに、以前は展示を補完するプログラムとして行われていたワークショップやレクチャー、ディスカッションなどがエキシビションのコアに組み込まれるようになった。本書は、「エキシビション」が、クリティシズムと結びついた一つの芸術形式として展開してきた流れを、1968年(ロバート・スミッソンが、《Non-Site》と題する展示を通して、批評家マイケル・フリードの論考「Art and Objecthood」に敵対した年)から現在まで、重要な分岐点となった数々の事例を通じて読み解いている(画像も豊富)。たとえば、マイケル・アッシャーによるポモナ・カレッジ・ギャラリーの脱構築(1970)、ミュンスター彫刻プロジェクトでの移動トレーラー(1977)、グループ・マテリアルの《The People’s Choice》(1981)、《Americana》(1985)から、キュレーター、マリア・リンドのプロジェクト、リアム・ギリック、エルムグリーン&ドラッグセット、トーマス・ヒルシュホルンによるエキシビション・メーキング、e-fluxの創設者アントン・ヴィドクルの活動まで…。美術史家でキュレーターの著者ジェイムズ・ヴアヒースは、批判される制度側がその批判をも取り込んで自己変革しようという状況を「ニューインスティチューショナリズム」という聞き慣れないコンセプトで説明している。
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