ア・ブレイド・オブ・グラスがSEAマガジンを創刊
SEAに取り組む米国のアーティストに対象を絞り、プロジェクト資金の助成と活動支援を行っているアートNPO「A Blade of Grass(ABOG)」が、2016年発刊の書籍『Future Imperfect』に続き、今度はSEAマガジン(年2回発行)を創刊した。
ABOGのフェローシップ・プログラムが類似の助成事業と異なる特徴は、選考したプロジェクトに対して単に資金提供するだけでなく、実践の現場を継続して追いかけ、リサーチ、レポートし、ドキュメンタリー映像の制作までを行っている点だ。その目的は、個別プロジェクトの評価にとどまらず、SEAという分野をより可視化することだという。そうすると、このマガジンの創刊も、当然といえば当然かもしれない。
ABOGエグゼクティブ・ディレクター、デボラ・フィッシャーは、これまで丁寧なフィールド・リサーチを重ねて得た情報や知見から、ビッグ・アイディアが、いかに小さな決断や行動を通して実現に至るかがわかった。それを広く共有し、人々をSEAに誘いたいという。
89ページに及ぶ創刊号のテーマは「WHERE」。リック・ロウへのインタビュー、ジャッキー・スメルの「Solitary Gardens」(独房に監禁されている囚人たちが独房と同サイズの庭を空地につくるプロジェクト)を、ABOGのフィールド・リサーチャー、参加者、キュレーター(第三者として)の視点で見る記事、来年春にサンフランシスコで開催予定のスザンヌ・レイシーの回顧展をキュレーションしているドミニク・ウィルスドンのエッセイ、ルーシー・リパードの1984年の著作から転載した「This Is Art? The Alienation of the Avant Garde from the Audience」と題するエッセイなど、興味深いコンテンツが並んでいる。。
冊子版はABOGのイベントでの配布のみだが、オンラインでデジタルブックを読むことができ、PDFをダウンロードすることもできる。
2018.9.26(秋葉美知子)
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