ティファナ・プロジェクション Tijuana Projection
マキラドーラ(税制の優遇を受けて輸出用の製品を加工する産業。メキシコの米国国境付近で展開されている)で働く女性労働者たちの、隠された悲痛な状況を公にすることにより、彼女たちの精神を癒やし、新しい出発の機会とすると同時に、共感者の輪を広げることを目的に、国境の都市ティファナで行われたプロジェクト。自ら証言者となって、劣悪な労働環境、性的虐待、家族崩壊、アルコール依存症、DVなどの体験を語る女性の顔のアップをティファナ文化センターの巨大なドーム型の外壁に投影し、声をラウドスピーカーで流した。これを広場に集まった1500人以上のオーディエンスが視聴した。
ヴォディチコは、問題にアプローチし、プロジェクトの影響力を高めるために、プロジェクト参加者を「コア・グループ」(中心的メンバー)から、「インナー・パブリック Inner Public」(問題に深くエンゲイジする参加者・支援者)、「アウター・パブリック」(オーディエンス)へと拡大していく方法をとっており、特にインナー・パブリックの重要性を強調している(ウェブジャーナル「FIELD」掲載のエッセイ参照)。
ポーランド出身のクシシュトフ・ヴォディチコは、ホームレスのために簡易シェルター《Homeless Vehicle》(1987-89)や社会問題をあぶり出す映像を建物に投影する「パブリック・プロジェクション」で知られるアーティスト。1999年には広島の原爆ドームにプロジェクションを行っている。
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