教育分野で注目される「気候変動詩」

図画工作・美術の教科書で全国的に高いシェアを持つ日本文教出版が、主に教師向けに発信している「まなびと」というWebマガジンがある。美術、人権、共生社会、PBS(Project Based Learning)など9つのトピックを設定して、それぞれの専門家が執筆する記事が掲載されている。その中の一つがESD(Education for Sustainable Development)で、聖心女子大学現代教養学部教授の永田佳之先生とその研究室が、「SDGs達成に向けて」をテーマに、世界の最新事情を発信している。永田先生は学部の授業で、毎年末のCOP開催の時期に合わせて「気候変動詩」をつくる試みをされていて、「まなびと」のWebマガジンでもしばしば取り上げられている。

最新の投稿では、「エコポエトリーの挑戦」と題して、詩作を通して気候危機の時代を乗り越えようとする試みが同時多発的に世界各地で見られることが報告されている。

「SEL(Social Emotional Learning)を推進するにあたり、アートに基づいた手法(art-based approach)はこの上ない可能性を開きます。……数多くある芸術活動においても、さしたる道具も必要とせずに取り組める詩作はだれもが日常で試みることのできる気候アクションでもあるのです」(本文より)

日本の事例として、アート&ソサイエティ研究センターの昨年プロジェクト「気候アクションSUMIDA」の取り組みが紹介され、「人々の意識や行動の変容に一役買ったにちがない」との評価をいただいた。

エコポエトリーという手法、その可能性や広がりに、今後も注目したい。

2024.10.18(秋葉美知子)