タムス・イヤー・テン Tamms Year Ten
ローリー・ジョー・レイノルズは、アーティスト、政策提言者、リサーチャーとして、自ら“立法アート” と呼ぶ活動(統治制度に深く関与し、具体的な政治改革を達成するためのアート)を展開している。刑務所問題に取り組んだプロジェクト《Tamms Year Ten》では、イリノイ州タムスのスーパーマックス刑務所(超厳重警備の刑務所)における囚人の扱いが人権を侵害する拷問に相当することを問題視した。sensory deprivation(感覚遮断)を目的につくられたというこの刑務所では、囚人は7.5㎡ほどの狭い独房に1日23時間閉じ込められ、運動や作業のプログラムは何も与えられなかったという。その状況の改善または刑務所の閉鎖を目的に、レイノルズはオーガナイザーとして、囚人や元囚人、その家族、支援者などによるボランティア連合Tamms Year Tenを結成(2008)。タムス刑務所の開所10年目にスタートしたことからこの名がつけられた。彼らはさまざまな周知活動、抗議運動を行うとともに、社会とのコンタクトを絶たれた囚人たちと、アートを通じたコミュニケーションを続けた。その組織的活動が実を結び、2013年にこの刑務所は閉鎖された。
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