ドーチェスター・プロジェクト Dorchester Projects
2007年にシカゴで最も治安の悪い貧困地区、サウスサイドに引っ越したアーティストのシアスター・ゲイツは、黒人文化の豊かな遺産が危機に瀕していることを実感する。そして2009年、放置されていた隣の空き家を買い取り、シカゴ中から集めた廃材を使って美的、機能的に改修。閉店した書店から14,000冊の書籍、シカゴ大学のアーカイブから60,000枚の映写用スライド、閉店したレコード店から8,000枚のビニールレコード盤を買い取り、それらを収蔵しながら活用する、アートを通じた活気あるコミュニティ・スペースにリノベートした(アーカイブ・ハウスとリスニング・ハウス)。2011年には、黒人映画の上映や地元の若者対象のビデオ教室を行うスペースも開設(ブラックシネマ・ハウス)。これら一連のゲイツの活動は、建物の立地場所にちなんで、「ドーチェスター・プロジェクト」と呼ばれている。
さらに、2012年、ドーチェスターからほど近いストーニー・アイランド・アベニューで廃墟になりかけていた新古典派建築の元銀行ビルを、ゲイツは市から1ドルで買い取り、リノベーションに着手。建物の一部だった大理石の板に“IN ART WE TRUST”と刻み、1枚5万ドルで売って資金を集めた。2015年の秋に、よみがえった建物はStony Island Arts Bankの愛称でオープン。アフリカ系アメリカ人のライフスタイル雑誌「EBONY」「Jet」で知られるジョンソン・パブリッシングのコレクションを収蔵するとともに、コンテンポラリー・アートの展覧会ベニューとなっている。
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