未来のIDカード
Future IDs

国:
米国
年度:
2015-2019
アーティスト:
グレゴリー・セール(Gregory Sale)
  • コミュニティ・プログラムにて、自身の体験をビジターと共有するartist-participant photo by Peter Merts

  • 未来のIDカードパネルの前に立つartist-participant。彼が右手に持っているのは囚人ID photo by Jear Keokham

  • 服役中の参加者とその家族 photo by Ben Leon

  • 自らの未来のIDカートを説明するプロジェクトの中心メンバー、Kirin Kim。彼も収監経験を持つ photo by Gregory Sale

  • これまでの活動と展示を締めくくる「Art and Justice Summit on Alcatraz」 photo by Peter Merts

「未来のIDカードFuture IDs」は、元受刑者や服役中の受刑者の社会復帰を、アートワークを用いてサポートすると同時に、刑事司法制度の改革を目指すプロジェクトだ。フェニックスとロサンゼルスを拠点とする多分野横断アーティスト、グレゴリー・セールが中心となり、プロジェクトの推進役を担うコラボレーターたち(そのうちの3人は自身も収監経験を持つ)と共に、2015年にロサンゼルスで活動を開始。出所後の将来設計とアートを組み合わせたワークショップをカリフォルニア州の刑務所やコミュニティで実施してきた。参加者(artist-participantsと呼ばれる)は、セールや協力アーティストからガイダンスを受けながら、未来の自分のアイデンティティを自由に思い描き、IDカードを模した個性あふれるビジュアル作品を創作した。IDカードをイメージ素材としたのには、囚人番号のみで扱われる刑務所からの解放を際立たせるためだ。

このプロジェクトの集大成として、特大サイズにブリントした42枚の“未来のIDカード”展示と一連のコミュニティ・プログラムによるイベント「Future ID at Alcatraz」が、2019年2月から9月にかけて、サンフランシスコ湾内に位置するアルカトラズ島で開催された。アルカトラズ島は、1934年から63年まで、連邦政府の重警備刑務所に使用され、監獄島と呼ばれた小島。現在はゴールデンゲート国立保養地の一部となり、刑務所博物館として年間200万人の観光客を集めている。この歴史的な施設で展覧会を開催することは、しばしば社会から除け者にされる受刑者たちの人間性や尊厳を広く知らしめる意味を持つ。

 

[参照サイト]
Future IDs

The Economist

Issue 3 of A Blade of Grass Magazine

Art Practical