SEA専門マガジン『ア・ブレイド・オブ・グラス』日本語版を発刊

SEAに取り組む米国のアーティストに対象に、プロジェクト資金の助成と活動支援を行っているアートNPO「A Blade of Grass(ABOG)」が、2018年秋にSEAマガジン(年2回発行)を創刊したことは、以前ブログで紹介しましたが、このたびアート&ソサイエティ研究センターSEA研究会は、このマガジンの記事のいくつかを翻訳し、『ア・ブレイド・オブ・グラス』日本語版として編集し、PDFファイルでの公開をスタートしました。

ABOGのプログラムが類似の助成事業と異なる特徴は、支援したプロジェクトに対して単に資金提供するだけでなく、実践の現場を継続して追いかけ、リサーチ、レポートし、ドキュメンタリー映像の制作までを行い、公開している点です。 ABOGのエグゼクティブ・ディレクター、デホラ・フィッシャーはこう書いています。「フィールドリサーチ(実地調査)は、金銭的支援を正当化するための“効果査定”とは異なり、SEAプロジェクトが実施されるときの肌触りやニュアンスを極めて豊かに伝えてくれる。私たちはそこから大きな学びを得ている」。このマガジンも、その学びを幅広くシェアし、SEAという領域をより可視化するために創刊されました。創刊号のテーマは「WHERE(どこ)」。日本語版では、ここに収録された記事のなかから以下の5本を選定しました。

・ 創刊号のイントロダクション
・ リック・ロウへのインタビュー
・ ジャッキー・スメルの《ソリタリー・ガーデンズ》を、異なる三者の視点でとらえた記事
・ スザンヌ・レイシーの回顧展のキュレーター、ドミニック・ウィルスドンによるエッセイ
・ アーティスト、ブレット・クックに対するQ&A

『ア・ブレイド・オブ・グラス』日本語版第1号のダウンロードはこちら(PDF 9.8 MB))

SEAの現場を多様な視点で洞察する記事は、日本における社会とアートの関係性に関心を持つ人々にも新鮮な刺激を与えてくれることと思います。今後、タイムラグは少しありますが、順次、日本語版を編集・公開していきたいと考えています。

(2019.6.6)