Tactical Performance: The Theory and Practice of Serious Play
ソーシャル・チェンジのための市民運動や抗議行動を成功させるために、演劇的な手法を用いた戦術的パフォーマンスを学ぼうという、クリエイティブ・アクティビストに向けた指南書である。カリフォルニア大学デービス校でパフォーマンス・スタディの教鞭をとる著者は、公民権運動、イッピーズ、ACT-UP、サパティスタなど、アクティビズムとパフォーマンスの結びつきを振り返り、バフチンのカーニバル論を再考しながら、自身が参加したアクティビスト集団の実践を事例に、その手法やメリット、デメリットを詳しく解説している。道化師のコスチュームで権力に抵抗するクラウン・アーミー、漫画的風刺で階級格差をあぶり出すビリオネアー・フォー・ブッシュ、架空の組織を名乗って石油依存社会を批判するOEA、本物そっくりのデザインで偽新聞を印刷し社会問題に切り込むイエス・メンなど、ユーモア、しゃれ、皮肉、挑発、遊び心にメッセージを込めたパフォーマンスとその舞台裏は、なるほどと思わせる。「闘争のレパートリー」「ヘゲモノローグ(覇者の独白)」「イレジスティブル・イメージ(圧倒的イメージ)」「戦術的インタラクション」「空間の解放/空間の占拠」「空中戦/地上戦」「アクション・オフセット」など、頭に入れておきたいキーワードも満載である。
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