青く塗った木々のシンフォニー Blued Trees Symphony
ニューヨーク市北部郊外に大手ガス会社が計画しているパイプライン建設を阻止するために、環境アーティスト、アヴィヴァ・ラマニが、環境活動グルーブ、科学者、著作権専門の法律家らとのコラボレーションで2015年に開始したプロジェクト。パイプラインの敷設予定地に立つ樹木に、地主の賛同を得て、地域住民や活動家たちが無毒の青い塗料でペイントを施す。塗料にはバターミルクを混ぜて、自然に苔が生えるようにしているという。この青色の帯が巻かれた樹木の列を、サイト・スペシフィックなインスタレーションとみなすとともに、それぞれの木を音符に置き換えて、オペラ風シンフォニーを創作。この一連のクリエーションを、Visual Artists Rights Act(視覚芸術家権利法)で著作権が保護される芸術作品《Blued Trees Symphony》として、樹木の撤去を阻止しようとしている。
ビデオ制作、ドキュメント展示、楽曲のウェブ配信や生演奏などによって活動を広めるとともに、「公共の利益」を盾に化石燃料会社が土地収容権を行使することを、アートワークの著作権で阻止することができるかを議論する模擬裁判も予定している。
「パイプライン建設反対!」を声高に叫ぶ抗議行動ではなく、法で保護される芸術作品を対抗手段に、「公共の利益」とは誰の利益かを問うアートアクティビズムである。この活動はニューヨーク州からヴァージニア、ウェストヴァージニア、ワシントン州など各地のパイプライン予定地にも影響を与え、新しい「小節」(1/3マイルの樹木の列を1小節と呼んでいる)が次々に生まれている。
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