米国でクライメート・フィクション(気候小説)コンテスト、公募中
深刻化する気候危機にアート/アーティストは何ができるか? そのチャレンジはさまざまなかたちで実践されている。
米国シアトルで1999年に設立されたNPO「Grist」は、”スモッグの中のかがり火”をキャッチフレーズに、環境に関するニュースや解説をオンラインで発信するとともに、「燃えない地球と吸い上げない未来」に向けて活動するさまざまな分野のイノベーターたちをネットワークしたソリューションズ・ラボ「Fix」を立ち上げている。
そのFixが、「imagine 2200」と題する気候小説コンテストを企画し、今後180年の間に、気候が安定的に推移することを思い描く短編小説を公募中だ。公募案内では、その意図を高らかに述べている。
今の世界は狂気じみ、危険が高まり、とんでもない未来が迫っています。私たちのニュースフィードは、否定、遅延、悲運に満ちていて、枕の中に向かって悲鳴を上げたくなります。でも、それは昔の話。Fixでは、クリーンで、グリーンで、公正な未来への道と、それを推進している人々の”新しい”物語を伝えています。私たちの使命は、より良い世界の物語を、魅力的なものにすることです。今すぐにでも手に入れたくなるように。
この目標を念頭に置いて、私たちは希望に満ちた前向きなフィクションの世界へ乗り出す決意をしました。まだ夢にも思っていない未来のビジョンを鼓舞し、気候に関する会話に多くの声を招き入れるために、さあ、この想像力の蜂起に参加して、地球の次章のページをめくるのを手伝ってください。
<主な応募要項>
- エントリーは無料
- 締め切りは、米国太平洋標準時の4月12日午後11時59分
- 国籍・居住地不問、応募時に18歳以上であること
- 応募作品は英文3,000~5,000 wordsの短編フィクションであること
- Adrienne Maree Brown, Morgan Jerkins, Kiese Laymon, and Sheree Renée Thomasほか、文学の専門家委員会により審査が行われる
- 賞金は、一等3,000ドル、二等2,000ドル、三等1,000ドル。さらに9人のファイナリストに、それぞれ300ド ルが贈られる
- 最終選考に残った12作品はすべて、Fixのウェブサイト上のデジタルコレクションとして公開される。
西暦2200年までのどこかの時点に物語の舞台を設定し、そのとき人々はどのように空間を移動し、何を食べ、何を飲み、何を着て、どんなところに住んでいるのか? 人々は、土地や資源、そしてお互いの関係をどのように保っているのか? 未来の人々の先祖である私たちは、どのような世界を未来に託したいと思っているのか?
サイエンス・フィクションならぬクライメート・フィクションのコンテスト。
英語での創作が基本なので、日本人には応募のハードルが高いが、パリ協定に復帰したアメリカで、どんな作品が選ばれるのか、選考結果が楽しみだ。
https://grist.submittable.com/submit/
2021.3.10(秋葉美知子)
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