気候危機に向き合うアートを考えるためのサイト

地球は急速に温暖化しつつあり、人類の排出した温室効果ガスがそれに重要な役割を果たしているということは、1990年代から科学的なコンセンサスとなっている。地球温暖化は、気温を上昇させるだけでなく、異常気象の深刻化、海氷が溶けることによる海面上昇、野生生物の住みかや生態系の破壊など、さまざまな(悪)影響を引き起こす。
「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が2018年に公表した『1.5℃特別報告書』が、1.5℃を超える気温上昇が未来の地球にもたらすリスクを示したことで、危機回避策の緊急性が明らかになった。スウェーデンのグレタ・トゥーンベリさんはじめ、この状況に反応した若者たちが世界中で立ち上がっている。メディアの用語使いも、「地球温暖化(global warming)」では生ぬるいと、「気候変動(climate change)」、さらに気候危機(climate crisis)」「気候非常事態(climate emergency)」へと変化してきている。

もちろんアーティストも傍観してはいない。地球環境問題や気候危機にクリエイティブに向き合うアーティストやキュレーター、リサーチャーたちは数多く、情報集積とネットワーキングも進んでいる。
ここでは、そのプラットフォームを提供しているウェブサイトをいくつか紹介しよう。

 

アーティストの活動やインタビューをはじめ、アートと気候変動の接点を探る組織・団体へのリンクや、大学の学位プログラムやコースを紹介している(非常に数が多いのには驚く)。パフォーマンス、演劇、音楽、絵画、写真、文学など表現形式で記事検索できる。

 

 

 

サブタイトルは「アントロポセンへの創造的会話」。情報サイトというより、アーティスト、キュレーター、研究者などのメンバー(約150人)からの投稿によるエッセイを中心に、学び、考え、議論のトピックを提供するサイト。

 

アーティストの活動を丁寧に紹介するプログが中心だが、昨年始まったオリジナル公募企画としてのオンライン展覧会が興味深い。第1回のテーマは「ecoconsciousness」。https://ecoartspace.org/ecoconsciousnessからオンラインカタログで参加作品を見ることができる。

 

気候変動問題の解決と公正な未来をテーマとするウェブ・ジャーナルで、芸術文化は主要トピックのひとつ。サイト内サイトのソリューション・ラボ「Fix」のTopixから「Climate +Art & Culture」に進むと、気候正義にフォーカスしたアーティストの活動が読める。

 

 

2021.6.01(秋葉美知子)