英国で表現の自由についての実態調査実施中

ArtsProfessional ウェブサイトより

あいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」をめぐって起こった一連のアクション、リアクションで、表原の自由と「検閲(センサーシップ)」が改めて問題になっている。「行政は芸術を支援しつつ、その活動から一定の距離を保ち、表現の自由と独立性を維持する」(お金は出すが、口出ししない)という「アームズ・レングス原則」発祥の国イギリスでも、センサーシップ(日本語の検閲より広い意味で使われる)が、自由な表現を妨げているようだ。”biting the hand that feeds(餌を与えてくれる手を噛むこと)”を恐れる態度は以前からあるが、近年、さまざまなプレッシャーから表現の自由への自己検閲が広範囲に見られるという。
その実態を把握しようと、芸術文化関係者に向けたイギリスの情報サイトArtsProfessionalでは、現在オンライン調査「Freedom of Expression Survey」を行っている。


主な質問を紹介すると:

●あなたは、芸術分野に影響を与える問題について、個人的な意見を、(直接の会話であれ、デジタルメディアであれ)公然と発言していますか?
「いつも」「たいてい」「時々」「めったにない」「全くない」から選択

●芸術分野に影響を与える問題について発言したために、直接またはデジタルメディアで、圧迫、叱責、脅迫、追放、強制、ネットトロール、嫌がらせ、いじめを感じたことはありますか?
「はい」「いいえ」

●以下の誰/どこからプレッシャーを感じたことがありますか? (いくつでも選択)

友達 同僚 クライアント 理事会 スポンサー 資金提供者 コミュニティグループ 運動団体 プレス/メディア ソーシャルメディア オーディエンス/一般大衆 規制当局 政府/地方自治体 その他(具体的に)

● 組織が公にしたくない状況に関して沈黙することの見返りとして、あなたに金銭を支払う「和解契約」を提供されたことがありますか?
「はい」「いいえ」

●次の文にどの程度同意しますか?
「強く反対」「反対」「どちらでもない」「同意する」「強く同意する」から選択

1. 個人的な見解や意見は、芸術文化の分野で働く他の人々からリスペクトされている。
2. 公的資金への依存は、重要な問題に関する開かれた議論を妨げる。
3. 芸術文化部門で働く人は、論争を招くような意見を持つと仕事から追放されるリスクがある。
4. ソーシャルメディアで敵意ある反発を受ける可能性があるため、私は自分の意見をオンラインでシェアすることをためらう。
5. 将来の資金調達を危うくする恐れがあるため、私は資金提供者の行動を公然と批判しない。
6. 芸術に携わる人々は、中道右派の政治的意見を認めるつもりはない。

●あなたは芸術的あるいは創造的な活動を計画する際に、論争のリスクを考慮していますか?
「はい」「いいえ」

●あなたの芸術的、あるいは創造的な活動に反応して、直接またはデジタルメディアで、圧迫、脅迫、追放、強制、ネットトロール、嫌がらせ、いじめを感じたことがありますか?
「はい」「いいえ」

●以下の誰/どこからプレシャーを感じたことがありますか?(いくつでも選択)

友達 同僚 クライアント 理事会 スポンサー 資金提供者 コミュニティグループ 運動団体 プレス/メディア ソーシャルメディア オーディエンス/一般大衆 規制当局 政府/地方自治体 その他(具体的に)

●こういった圧力のために、芸術作品、プログラミング、または計画を変更したことがありますか?
「はい」「いいえ」

●次の文にどの程度同意しますか?
「強く反対」「反対」「どちらでもない」「同意する」「強く同意する」から選択

1. 私の組織の理事会は、論争を招く可能性がありそうな創造的な活動について不必要に慎重だ。
2. アーティストのほうが芸術団体よりも自己検閲する傾向が強い。
3. 論争を覚悟しない組織は、わくわくするような創造的作品を提供しない。
4. 芸術文化部門は、重要な物事について発言するために、(どんな結果を招くにせよ)そのユニークな才能を利用する責任がある。


非常に単刀直入の設問。日本でも同様の調査を行って、結果を比較できないだろうか。

2019.11.11(秋葉美知子)