「詩」の力で、気候危機に向き合う意識を高め、アクションにつなげよう

アート&ソサイエティ研究センターでは「気候アクションSUMIDA~川辺から詩と映像のメッセージ」と題して、ますます深刻になっている気候変動をテーマに、官・民・学のコラボレーションでSEAプロジェクト展開している。
川に囲まれた東京都墨田区に拠点を設け、アート、サイエンス、建築、デザイン、ランドスケープ、まちづくりなど、分野横断で、気候アクションにつなげようという試みである。
そのコアとなる企画として、気候変動がもたらす危機を知り、川や水、地球環境について思いや考えを表現する詩(クライメート・ポエトリー)を広く一般公募している。

2014年の国連気候変動サミットで、マーシャル諸島の気候変動活動家で詩人でもあるキャシー・ジェトニル=キジナーさんが、生まれたばかりの自分の娘に宛てた詩を披露して絶賛され、詩は演説にも増して人の心に訴える力を持つことが示された。

気候変動、気候危機をテーマとした詩は海外にはどれほどあるだろうかとネット検索してみた。するとこのテーマについて書かれた詩を特集するサイトがいくつも見つかった。アメリカ詩人アカデミーのサイトpoets.orgには、「Poems about Climate Change」というページが設けられ、気候変動や関連するトピックについての詩が50編以上紹介されている(作者の解説付きの詩もある)。気になるタイトルの詩をChatGTPで和訳してみると、象徴的で難解な表現でも、書き手の世界観を共有することができる。

気候変動がもたらす危機は、将来の世代の子どもたちに重大な影響を与え、さらに低・中所得国の子どもたちがより大きな損失・損害を被ることが明らかになっている。子どもの支援を行う国際NGOセーブ・ザ・チルドレンが気候研究者の国際チームと共同で発表した、報告書『気候危機の中に生まれて』には、ザンビアの15歳の少女、ジャスティーナさんの詩が掲載されている。その中に、誰も否定できない、心に刺さる一節があった。
「私たち人間が問題を引き起こしたのであれば、同時に問題の解決者にもなれる。」

セーブ・ザ・チルドレンが、ブリュッセル自由大学を中心とした気候研究者の国際チームと共同で発表した報告書『気候危機の中に生まれて』

2023.5.30(秋葉美知子)