ウクライナ避難民を支援するワルシャワの美術館

”サンフラワー”のシンボルマーク desing: Kaja Kusztra

2022年2月24日にロシアがウクライナに侵攻して以来、ポーランドは240万人を超える避難民を受け入れており、その幅広い支援の様子がしばしば報道されている。文化施設も例外ではない。ワルシャワ近代美術館は、アーティスト・コレクティブBlyzkist(ブライズキスト)とのコラボレーションで、ワルシャワ中央駅にほど近い美術館本部の一階を避難民のための空間に変え、“サンフラワー”連帯コミュニティ・センターと名付けた。当初は、毎日ここにボランティアが集って数千食のサンドイッチを作り、衛生用品などとともに難民シェルターに届けたり、おもちゃを用意して行き場のない子どもたちを遊ばせたり、ポーランドの身分証明書を取得するためのポートレート写真を無料で撮影したりと、緊急支援をしていたが、現在は、避難民が参加できるワークショップや教育プログラムへと活動を発展させている。

 

ワルシャワ近代美術館のFacebookより

こういった迅速な対応には驚くが、調べてみると、ワルシャワ近代美術館の難民支援は今に始まったことではなかった。ポーランドで20年にわたって難民・移民の支援をしているオツァレニエ財団(オツァレニエとはポーランド語で救済の意)、ワルシャワ美術館友の会との共催で、2017年から「Refugees Welcome」と題するチャリティ・アートオークションを開催してきている。アーティストから作品の提供を受け、その収益金はオツァレニエ財団が実施している難民への住居提供や就職支援事業、外国人ヘルプセンター運営の資金に充てられる。過去5回のオークションで、203人のアーティストが提供した285点の作品が落札され、784,000PLN(約2,350万円)のファンドレイジングができたという。

2022年のRefugees Welcomeは、4月8日から5月15日まで、アーティストから寄付された作品に加えて、現代の移住の物語を展開する作品展で構成され、オークションでは、ポーランド国内外の70人を超えるアーティストの作品が販売される予定だ。

2022.4.7(秋葉美知子)