英国アーツカウンシルによるアート・クオリティ数値評価導入が失速しているわけは?

昨年10月22日の投稿で、英国アーツカウンシル(ACE)は、年額25万ポンド(約3,600万円)以上の補助金を支給しているメジャーな芸術文化団体(National Portfolio OrganisationsとMajor Partner Museums)に対し、その団体が行う演劇や音楽の公演や美術展などの個々のプロダクションについて、共通のコンピュータ・ソフトを使ったクオリティ評価を義務化し、今年の4月から導入予定と書いた。この施策に対しては、そもそも芸術的クオリティは数値で計測できるのか、ということから、オーウェル流の監視システムだ、成績表をつくって補助金支給の判断基準にするのではないか、評価項目が包括的すぎて意味がないなど、さまざまな批判の声があがっていた。
しかし、いまだにこの事業を請け負う業者の入札結果も発表されず、計画は立ち往生しているという。その理由は、内容の是非ではなく、業者の入札方法が、公的予算を使ってこの評価システムの開発とトライアルを行ったコンサルタントの会社が圧倒的に有利になるような仕組みで、EUの調達ルールに抵触するということらしい。英国にも、「〇〇ありき」を疑われる選考プロセスがあるようだ。

参考記事 Quality Metrics stalled as ACE falls foul of procurement rules

(秋葉美知子)