肉体のアナーキズム:1960年代・日本美術におけるパフォーマンスの地下水脈

黒ダライ児
2010

アナーキズム「SEAにはパフォーマンスがしっかり埋め込まれている。それは、SEAがパフォーマンス的であるだけでなく、SEAがパフォーマンス・アートの歴史に由来するコンセプチュアルな構造や戦略を借用しているからである」と、パブロ・エルゲラが言うように、パフォーマンスの歴史を知ることはSEAを理解するうえで重要だ。日本におけるアートと社会の関係性、アーティストがいかに政治や文化や都市に介入してきたかを考えるうえでも、パフォーマンスの歴史を振り返ることは必須だが、これまでこのテーマに焦点を絞った研究書はなかった。本書は、美術評論の主流からほとんど無視された、1960年代の美術家たちによる、身体を素材とした「反芸術」的な表現活動の動機や意味を、膨大な資料と長年の調査によって解き明かしており、SEA研究に有益な手掛かりを与えてくれる。