Assuming Boycott: Resistance, Agency and Cultural Production
あいちトリエンナーレ2019で「表現の不自由展・その後」が中止になったことに抗議して、トリエンナーレ参加アーティストの14人/組が自らの展示を中止したことは記憶に新しい。「ボイコット」とは、団結して特定の相手を排斥したり、集まりなどへの参加を拒否すること。1870年代末のアイルランドで、土地差配人チャールズ・ボイコットの強権的なやり方に対して小作人たちが組織的に拒否行動したことに由来するという。 このボイコットという手段は、20世紀にはインド、南アフリカの解放や米国の公民権運動で中心的な役割を果たし、現在にいたるまで世界のアクティビストたちにとって重要な手段であり続けている。本書は、文化的プラクティスとしてのボイコットに焦点を当て、アパルトヘイト時代の南アフリカにおける文化的ボイコット、イスラエルに対するBDS(ボイコット、投資撤収、制裁)運動、表現の自由と倫理、ビエンナーレや国際的文化イベントの時代における遠くからの関与/不関与をトピックに、アーティスト、研究者、キュレーター、アクティビストらによるエッセイを収録している。今の日本における表現の自由と検閲については、タニア・ブルゲラによる「The Shifting Grounds of Censorship and Freedom of Expression」、米国の反検閲連合(National Coalition Against Censorship)のプログラム・ディレクター、スベトラーナ・ミンチェバによる「Structures of Power and the Ethical Limits of Speech」が参考になる。編者の一人、ローラ・ライコヴィッチについては、SEAラボブログの記事参照。
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