Museum Activism

Robert R. Janes, Richard Sandell(編)
2019

「世界のミュージアム・コミュニティは、まどろみから目覚めようとしている眠れる巨人だ(そういうものがあるとすればだが)」という挑発的なイントロダクションから始まるアンソロジー。“ミュージアムの中立性”はもはや神話であり、不平等、不正義、地球環境の危機が深刻化するこの時代に、ミュージアムは(明確な目的に基づいて設立された“アイデンティティ・ミュージアム”だけでなく、総合ミュージアムも)、現実世界のさまざまな課題に深く関わり「文化変革のための能動的エージェント」へ変身すべきだという信念のもと、世界各国のミュージアムディレクターや研究者、キュレーター、アーティストなどが書いた34本に及ぶエッセイが収録されている。ナチュラル・ヒストリー・ミュージアムBP or not BP?の博物館介入に関する寄稿もある。編者は、『Museum Management and Curatorship』の名誉編集長ロバート・R・ジェーンズと、英国レスター大学の博物館学教授リチャード・サンデル(レスター大学はこの分野の実験的な研究・実践で知られている)。
かつて、ACT-UPがエイズ禍に目をつぶることを“Silence=Death“と批判したように、今、ミュージアム・アクティビストたちの間で、”immorality of inaction(無為という不道徳)“に抵抗する動きが始まっているようだ。