Collective Creative Actions: Project Row Houses at 25
プロジェクト・ロウ・ハウス(PRH)は、7人のアーティスト(※1)が中心となって始めたコミュニティ再生プロジェクトであり、運営するNPOの名称でもある。1993年、アフリカ系アメリカ人が主に住むテキサス州ヒューストンの貧しい地区「第3区」で、取り壊されようとしていたショットガンハウス(※2)22戸を、リック・ロウたちアーティスト/アクティビストのグループが買い取って修復し、ギャラリー、アーティスト・イン・レジデンス、若い未婚の母のための一時的住居に変えていった。そして徐々に区域を拡張し、低家賃住宅の開発・提供、コミュニティ・ビジネスの育成など提供サービスも広げてきた。アートを触媒として、地域の歴史と文化を継承しながら住民のニーズに応え、エンパワメントを目指すこのプロジェクトは、オルタナティブな地域発展のモデルとして知られている。本書は、その25年にわたる歴史と中心的な取り組みを概観するコンパクトな回顧録である。“天才賞”と言われるマッカーサー・フェローに選ばれたリック・ロウのプロジェクトと見られがちなPRHだが、彼にスポットを当てるのではなく、いかに多くの人々や団体の協働によってさまざまなプログラムが考案され、成長してきたかを知らしめる構成になっている。
(※1)リック・ロウ、ジェイムス・ベティソン(1955-1997)、バート・ロング(1940-2013)、ジェシー・ロット、フロイド・ニューサム、バート・サンプルズ、ジョージ・スミス
(※2)ショットガンハウスとは、ワンルームの幅しかない細長い間取りの家で、玄関から拳銃を撃つと、そのまま裏口まで弾が飛んでいくということからこの名がついた。19世紀半ばから1920年代にかけてアメリカ南部で数多く建てられた住宅形式。
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