自らの手で De tu Puño y Letra(By Your Own Hand)
=アメリカ人アーティスト、スザンヌ・レイシーはこれまで、レイプやDVの問題に関して、女性被害者に焦点を当てたパブリック・アートワークをさまざまなかたちで行ってきたが、これは男性に積極的な参加を求め、その意識変革をテーマとしたプロジェクトである。
エクアドルでは女性10人中6人が暴力の被害者で、暴力的なパートナーから逃れる女性は1割しかいないという。この状況に対して、2012年、キト市、国連女性機関、ドイツ国際協力公社のイニシアティブで、「Cartas de Mujeres (Letters from Women)」というキャンペーンが実施され、自身の暴力被害体験を綴った手紙が、エクアドル全土から10,000通以上集まった。
De tu Puño y Letra(By Your Own Hand)は、このキャンペーンに触発されたレイシーが、問題意識を持つ行政、NPO、学校、アート組織などともにプランニングし、さまざまな年代・職業の男性が見知らぬ女性からの手紙を“受け入れ(adopted)”、DVに関する自分自身の理解を再考するプロジェクトとして実現した。準備段階では、男性を対象とした「男らしさと暴力」についてのワークショップや、ラス・アメリカ大学での家庭内暴力に関するカリキュラム開発を行い、最後の締めくくりとして、2015年11月25日(女性に対する暴力撤廃国際デー)に、キト唯一の闘牛場のリングで、300人の男性が女性たちの手紙を読むという、スペクタクルな演劇的パフォーマンスを公開した。最後にパフォーマーたちはキャンドルを携えて客席に移動し、それぞれ2~3人の観客と物語を共有しながら、会話を重ねた。
このプロジェクトを支援したア・ブレイド・オブ・グラスのウェブサイトで、8分ほどのドキュメンタリー動画を見ることができる。
[参照サイト]
http://www.suzannelacy.com/recent-works/#/de-tu-puno-y-letra-2/
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