ヒューストンで、アーティストと活動家のブレインストーミング・セッション

テキサス州ヒューストンのNPO「ダイバースワークス(DiverseWorks)」は、1982年の創立以来、オルタナティブ・アート・スペースを運営し、革新的なプログラミングによって、アーティストの新しいアイディアを支援するとともに、アーティストとコミュニティの対話の場をつくってきた。

プロジェクト・ロウ・ハウスの実現にもこのNPOが重要な役割を果たしている。打ち棄てられたショットガンハウスに魅力を感じたリック・ロウたちアーティストのグループは、まずダイバースワークスを訪ね、ぜひ見てほしいとスタッフを現地まで引っ張って行った。すると彼らも興奮し、これは一時のイベントではなく長期的に活用できるだろうと、NEA(全米芸術基金)に助成申請をした。NEAも興味を示し、それが功を奏して、ロウたちはショットガンハウスを不在家主から買い付け特約付きで借り受けることに成功したという。

ダイバースワークスでは、9月23日から11月18日まで、「Lines Drawn(引かれた線)」と題する、国境や境界線にまつわる諸問題(移民、ナショナリズム、公平、人権)に取り組むアートワークを集めた展覧会を開催中だ。その関連プログラムとして、10月11日に「Artist/Activist Matchmaking」という、アーティストとアクティビストが矢継ぎ早に(rapid-fire)ブレインストーミングする場が設けられる。

このプログラムを企画したのは、プロジェクト・ロウ・ハウスとヒューストン大学マクガバン・カレッジ・オブ・アーツが共同で創設したフェローシップ(CotA-PRH Fellow)の2017年のフェローに選ばれた若手アーティスト、キャリー・シュナイダー。ブレストのテーマを、今ヒューストンで議論されている大きな社会問題―環境正義、反ジェントリフィケーション、LGQTIA、移民受け入れ、刑事司法改革、BLMHTXのハリケーン・ハービー救援の6つに設定。セッションの目的は、人材不足と燃え尽き症候群に陥っている活動団体に新しいアイディアを注入し、意欲的なアーティストを政治的関与に結びつけることだという。

スローガンは、“We are NOT making signs, we are making new possibles”
日本でも、こんなセッションが活発に行われるといいと思うのだが。

(秋葉美知子)