バーチャル・シンクタンクCreatequity が第1回「アーツリサーチ賞」発表

NVSQは、NPOとフィランソロピーに関する学術研究者のネットワークARNOVAの季刊誌

3月27日に、Createquityが「アーツリサーチ賞」を創設したニュースを投稿したが、その選考結果が発表された。500を超える候補の中から、米国でノンプロフィット・マネジメントを研究するMirae Kimによる「Characteristics of Civically Engaged Nonprofit Arts Organizations: The Results of a National Survey(市民参画型アートNPOの特徴:全国調査結果から)」が最優秀賞に選ばれた。Kimは現在、ジョージア州立大学アンドリュー・ヤング政治学スクールの助教。

NPOはさまざまな役割(市民参画志向の役割とマーケット志向の役割の両方を含む)を果たしているが、市民参画志向型アートNPOはマーケット志向型アートNPOと対比してどのような特徴を持つかを、アートNPOディレクター21人へのインタビュー、全米から層化抽出した900を超えるアートNPOに対するサーベイ、これらのNPOのIRS(内国歳入庁)への税務申告、に基づいて考察したもの。その結果から、市民参画志向型アートNPOの特徴として以下の3点を導き出している。①幅広いネットワークを持つ、②“市民参画(civic engagement)”を、業界の規範(industry norm)として認識している、③NPOの法的立場を自覚している。また、NPOの自己収入と市民参画とは負の相関があること、政府による資金補助と市民参画志向の行動パターンとは相互関係がないことも見いだされたとしている。

この調査研究は、学術ジャーナル「Nonprofit and Voluntary Sector Quarterly」のVol.46(2017年)に掲載されている。残念ながら、フルテキストを自由にダウンロードすることはできないが、その概要はCreatequityのウェブサイトに紹介されている。
また、この最優秀賞に加え、次点(1)と特別賞(5)も同時に発表された。

(秋葉美知子)