Making Another World Possible: 10 Creative Time Summits, 10 Global Issues, 100 Art Projects
過去40年以上にわたって、都市の公共空間を舞台に、アーティストの挑戦的な創造活動をプロデュースしてきたニューヨークのNPO、クリエイティブ・タイムは、 “アートと政治の交差点で活動する思想家、夢想家、実践者のための年に一度の大会”をスローガンに 2009年から毎年「クリエイティブ・タイム・サミット」を開催し、2011年には世界のソーシャリー・エンゲイジド・アート(SEA)を概観する展覧会「リビング・アズ・フォーム」をオーガナイズしている。いわばSEAの強力な唱道者だ。本書は、このクリエイティブ・タイムの芸術ディレクターを2007年から2017年まで務めたネイトー・トンプソンと、ArtLeaksの創立者の一人、コリーナ・アプストルが編集。「もう一つの世界を可能にする10のサミット、10の地球規模の諸問題゜、100のプロジェクト」というタイトル通り、これまでのサミットをトンプソンが総括し、SEA実践者やコミュニティが向き合う問題をリサーチャーやキュレーターたちが論じ、10のイシューごとに世界各地から集めた10のアート・プロジェクトを紹介するという盛りだくさんな構成だ。さらに注目は、1945年から2018年までのアートと政治年表が24ページにわたって挿入されていること(フルカラーのビビッドなデザインで、かなり見にくいが、コンテンツは非常に参考になる)。『Living as Form: Socially Engaged Art from 1991-2011』の続編的内容で、SEAに関心を持つ人はぜひ手元に置いておきたい一冊である。
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