美術館はどれほど現実世界に関与できるのか?
2015年1月から3年間ニューヨークのクイーンズ美術館の館長を務めたローラ・ライコヴィッチが、美術館の理事会との考え方の相違がもとで辞職した。ソーシャリー・エンゲイジド・アートの熱心な擁護者として知られるライコヴッチは、「世界中で悪くなっている数多くのことに芸術文化は取り組まなければならない。私はそれに重点を置き、エネルギーを注いできた。しかし結局、私のビジョンと理事会のそれは食い違っていた」とニューヨークタイムズ紙に辞職の理由を語っている。
彼女の理事会への不信感は昨年の夏、イスラエル関連イベントに美術館のスペースを貸す、貸さないをめぐる事件から高まったという。その事件とは……クイーンズ美術館はかつて1946年から50年まで、一時的に国連総会の場となっており、1947年11月29日、ここでパレスチナ分割が決議された。2017年、決議後70年の記念行事をクイーンズ美術館で行いたいという申し込みがあり、美術館は最初承諾したものの、パレスチナからの抗議を懸念し、館内のスペースで政治的なイベントは行えないという理由でキャンセルした(その判断は館長の意向とみられた)。しかし、それに対してイスラエル当局やニューヨークの市会議員から反ユダヤ主義だという批判が高まり、再度決定が覆り、イベントは予定通り行われた。
また、ライコヴィッチは、ボイコットと撤退を手段とした世界のアート・アクティビズムについてのエッセイ集『Assuming Boycott』をニュースクール大学ヴェラ・リスト芸術・政治学センターのカリン・クォニらと共に編集・出版した(2017)。そのなかに「BDS and the Cultural Boycott of Israel」という章があること、この本を美術館のギフトショップで販売したことなども理事会の気に入らなかったようだ。
ライコヴッチの下でのクイーンズ美術館は、トランプ大統領の就任日(2017年1月20日)に「J20アート・ストライキ」の一環として、翌日のデモ行進に使うためのポスターやバナーをつくるワークショップを行ったり、SEAの先駆的アーティスト、ミエル・ラダマン・ユーケリスの回顧展を開催したり、この4月からは、さまざまな方法で社会介入してきたアーティスト、メル・チンの展覧会が、ライコヴィッチ最後のキュレーションで予定されている。
2015年1月に館長に就任した直後、ライコヴィッチはA Blade of Grass(ABOG)のウェブサイトに「The Urgency of the Unseen」と題するエッセイを書いている。「クイーンズはディアスポラとハイブリディティの現場。昔からニューヨークにやってくる移民たちが住み、豊かな多様性、混合性を持つ地域だ。私たちはいかに、クイーンズ美術館を、つくり手とビジターの双方にとって、さまざまな、複雑な、特別な体験の場として思い描けるだろうか?…クイーンズ美術館は、排除され、無視されてきたことを問題にし、探求する場所、展示、プログラムをつくり出さなければならない。その表明のなかにインスピレーションとビューティを込めて」。
美術館運営に乗り出そうとするこのときの熱い思いは、クイーンズでは果たせなかったかもしれない。しかし、彼女を支持し、より政治的にエンゲイジするアート・インスティチューションを求める公開書簡が、38人のキュレーター、アーティスト、研究者(ルーシー・リパード、マーサ・ウィルソン、グレゴリー・ショレット、ファン・アッベ美術館のチャールズ・エッシェ、ABOGのデボラ・フィッシャー他)の署名で発表され、芸術文化施設の社会関与についての議論を促進する呼び水となりそうだ。さらに彼女は2月15日に、ヴェラ・リスト芸術・政治学センターで行われた「いかにアートは避難場所として移民コミュニティを支援できるか?」と題するパネル・ディスカッションに、ニューヨーク市文化局長のトム・フィンケルパールらと参加している。
今後も、この議論のリーダーとして、ライコヴィッチの活動には注目したい。
2018.2.26(秋葉美知子)
ウェブ・ジャーナル「Seismopolite」がアーティスト・イン・レジデンスを特集
Seismopoliteは「アートと政治のジャーナル」をキャッチコピーに、興味深いテーマ設定で世界のライターから記事を集め、年に3号くらいのペースでノルウェーのオスロから発信されているウェブ・マガジン。その最新の2号は、世界的に急増している「アーティスト・イン・レジデンス(AIR)」の近年の展開を、理論と事例の両面で特集している。
AIRはもともと、アーティストに日常生活の拘束から解放された時間と場所を与え、彼らの作品制作を支援することを目的に行われるのが一般的で、レジデンシーはいわば、誰にもじゃまされない「隠れ家(retreat)」であり、新しい創造の「インキュベーター」だった。しかしここ20年ほどは、アートの「ソーシャル・ターン」(クレア・ビショップ)、「コラボレイティブ・ターン」(マリア・リンド)に歩調を合わせるように、AIRも、アーティスト個人の作品制作より、コミュニティとの協働から生まれるソーシャル・プラクティスを意識したものが多くなっているという。この特集の記事の多くも、後者のタイプの“ソーシャリー・エンゲイジド・レジデンシー”に注目している。
AIRの文脈をたどり、今日の“社会形態”としてのAIRを論じた「アーティスト・レジデンシーの社会生活:見知らぬ土地と人々との交流」(Marnie Badham)、カナダ、エドモントン市役所での1年にわたるレジデンシーを事例に、AIRのどのような面を重視し、評価するかを論じた「埋め込まれた美学:論争と社会革新の場としてのアーティスト・イン・レジデンス」(Dr. Michael Lithgow and Dr. Karen Wall)、AIRの労働経済を論じる「アート・イン・レジデンシー:先行き不安、それとも好機?」(Sebastjan Leban)は、日本のAIRやアートプロジェクトを考える上でも参考になりそうだ。
その他、パキスタン、ブラジル、エクアドルのキトでの事例、米国ヴァージニア州の自宅にAIRを開設したアーティストとワシントン州立大学の研究者対象レジデンシーのディレクターが「ルーラルAIR」をテーマに語る対談などが掲載されている。
(秋葉美知子)
クリエイティブ・タイムのナトー・トンプソンが語る米国のアートワールド
このブログでもたびたび紹介しているニューヨークのアートNPO、クリエイティブ・タイムのアーティスティック・ディレクター、ナトー・トンプソンが、この11月、昨年設立されたばかりの「フィラデルフィア・コンテンポラリー」(注)のアーティスティック・ディレクターに就任することが決まった。
さまざまなSEAプロジェクトのキュレーターを務めると同時に、アートと政治に関する論客の一人として知られるトンプソンに、ウェブ・ジャーナル「ハイパーアレジック」の編集長、フラグ・バータニアンが、米国(特にニューヨーク)のアートワールドとSEAの状況について興味深いインタビューをしている。
以下、「ハイパーアレジック」の記事から、シンプソンの発言をいくつかを要約して紹介しよう。
- この10年間に、インスティチューションが(美術館やギャラリーだけでなく市の行政機関も)SEAやポリティカル・アートに関心を示すようになってきた。
- 最近、チェルシーを歩いたら、カラ・ウォーカーの展覧会、トレバー・パグレンの展覧会、デューク・ライリーの展覧会が開かれていて、物事は確かに変わっていると思った。
- プレイスメイキングについていうと、これまでは、ネオリベラリズムと手をつないだリチャード・フロリダの「クリエイティブ・クラス」モデルに対する批評が主だったが、ここ数年議論はかなり変化している。都市環境における文化的生産(cultural production)の役割について批評的に会話することはきわめて重要だ。ジェントリフィケーションをめぐる戦線は、今現在チャイナタウンで問題が起こっているように、アーティストの作品もいかに都市開発と結びついているかをじっくり考えるためのるつぼとなっている。
- アートワールドを形成している人々の大半は権力から閉め出されているということは覚えておくとよい。つまり、ほとんどのアーティストはメジャーなギャラリーで作品展示をしていないし、アートで生計を立ててはいない。しかし、アートワールドの中で、ネオリベラリズムから恩恵を受けている人がたくさんいることも事実だ。
- 商業世界を見回せば、多くのSEAを見いだすことはないが、アメリカ任意の都市に出かけてアートプログラムの話を始めれば、非常に多くの人々が自分たちの地域で仕事をしていることがわかる。“Forget whether or not it’s great work, it’s work being done”
- SEAがニーズを満たそうとしているとは思わない。しかし、そのプラクティスの根底には興味深い意図がある。アーティストたちは、何かを言おうとしているとことと何かをやろうとしていることの間の緊張関係を解決したいと思っているのだ。
- オキュパイ・ムーブメントがなければバーニー・サンダースは出てこなかっただろう。
- アートのことを全く知らない市民がシアスター・ゲイツのことを話題にするのを聞くにつけ、彼は重要な人物だと思う。
- ウェブ2.0は、広範囲のアーティストや世界の芸術嗜好を紹介してきた。かつては、「ニューヨークタイムズ」「アートフォーラム」「ホイットニー・ビエンナーレ」のどこかで紹介されないと問題外だったが、今ではもうそんなことはない。
- インスティチューションが、今のところ口先だけでも、コミュニティ・エンゲイジメントに関心を示している。次のステップは実際にやることだ。それはインスティチューションにとっても健全なことだと思う。これまで、アートと政治は(インスティチューションの)教育課を通して集約されてきた。それが突然、キュレーターたちが後ろを振り返ってみると、教育課が最も重要な仕事をしていると気づいたのだろう。
- 私はフィラデルフィアに8年間住んでいる。フィラデルフィアには、市民意識が高く、想像力に富み、ワイルドなアーティストがたくさんいる。ハリーともにここで新しいタイプのインスティチューションをつくることにワクワクしている。
(注)ペンシルバニア美術アカデミーの前館長ハリー・ヒルブリックが、分野横断的ビジュアル・アートとパフォーマンス・アートのプラットフォームとして2016年に設立したNPO。現在は常設のスペースを持たず、市内各所で期間限定のイベントやインスタレーションを展開しているが、数年後には拠点となる建物を建設する予定だという。
(秋葉美知子)
ヒューストンで、アーティストと活動家のブレインストーミング・セッション
テキサス州ヒューストンのNPO「ダイバースワークス(DiverseWorks)」は、1982年の創立以来、オルタナティブ・アート・スペースを運営し、革新的なプログラミングによって、アーティストの新しいアイディアを支援するとともに、アーティストとコミュニティの対話の場をつくってきた。
プロジェクト・ロウ・ハウスの実現にもこのNPOが重要な役割を果たしている。打ち棄てられたショットガンハウスに魅力を感じたリック・ロウたちアーティストのグループは、まずダイバースワークスを訪ね、ぜひ見てほしいとスタッフを現地まで引っ張って行った。すると彼らも興奮し、これは一時のイベントではなく長期的に活用できるだろうと、NEA(全米芸術基金)に助成申請をした。NEAも興味を示し、それが功を奏して、ロウたちはショットガンハウスを不在家主から買い付け特約付きで借り受けることに成功したという。
ダイバースワークスでは、9月23日から11月18日まで、「Lines Drawn(引かれた線)」と題する、国境や境界線にまつわる諸問題(移民、ナショナリズム、公平、人権)に取り組むアートワークを集めた展覧会を開催中だ。その関連プログラムとして、10月11日に「Artist/Activist Matchmaking」という、アーティストとアクティビストが矢継ぎ早に(rapid-fire)ブレインストーミングする場が設けられる。
このプログラムを企画したのは、プロジェクト・ロウ・ハウスとヒューストン大学マクガバン・カレッジ・オブ・アーツが共同で創設したフェローシップ(CotA-PRH Fellow)の2017年のフェローに選ばれた若手アーティスト、キャリー・シュナイダー。ブレストのテーマを、今ヒューストンで議論されている大きな社会問題―環境正義、反ジェントリフィケーション、LGQTIA、移民受け入れ、刑事司法改革、BLMHTXのハリケーン・ハービー救援の6つに設定。セッションの目的は、人材不足と燃え尽き症候群に陥っている活動団体に新しいアイディアを注入し、意欲的なアーティストを政治的関与に結びつけることだという。
スローガンは、“We are NOT making signs, we are making new possibles”
日本でも、こんなセッションが活発に行われるといいと思うのだが。
(秋葉美知子)
アーティストが被災地支援に取り組むときのガイドブック
『アートは酸素になった:アーティスティック・レスポンス・ガイド』という、なかなかそそられるタイトルのガイドブックが、「米国芸術文化省(U.S. Department of Arts and Culture)」と名乗る、アーティストや文化関係者たちの草の根アクション・ネットワークのウェブサイトで公開されている。
大地震やハリケーンといった自然災害、テロや暴動、環境破壊などの人為的な危機に直面して、何か役立つことをしたいと立ち上がるアーティストやアート団体は多いだろう。そのときアートは何ができるか? 癒やしや絆づくりにとどまらず、プロテスト、体験の創造的な再構成や回復力の強化まで、目的や範囲は幅広い。
このガイドブックは、緊急時についての本質的な理解から、カテゴリー別の実践例(物語の収集、パブリック・アート、詩と話術、音楽、ダンス、演劇、メディアと写真、アーティストの個人的作品制作)、アーティストと公的な危機管理組織との連携、コミュニティで活動するときに必要なスキルや心構えまで、アーティスティック・レスポンスを意味あるものにするために知っておくべきポイントや事例、情報ソースを74ページにわたってまとめたものだ。もちろん、米国の読者に向けた編集だが、事例やリンク、実践者の話などが豊富に掲載されていて、私たちにも参考になる手引書だ。
(秋葉美知子)
クリエイティブ・タイム・サミット2017のテーマは「Of Homelands and Revolution」
ニューヨークのNPO、Creative Timeが2009年に始めた「クリエイティブ・タイム・サミット」は、SEAの国際的プラットフォームとして定着した感がある。10回目の今回から、キャッチコピーが少し変わり、以前の“アートと政治の交差点を探求するリーディング・コンファレンス”から、“アートと政治の交差点で活動する思想家、夢想家、実行者のための年に一度の大会”となった。
9月28日から30日にカナダのトロントで開催される今年のサミットのテーマは、「Of Homelands and Revolution(母国と革命について)」。Homelandsで、亡命者、強制退去者、難民を生む暴力的な国境や世界に伝染するナショナリズムに関連づけるとともに、Revolutionでは、今年がロシア革命100年に当たることから、今一度この歴史的出来事を振り返り、今日のアーティストやアクティビストの社会正義を求めるラディカルな活動につなげる意図がある。それを象徴するように、基調講演者はガヤトリ・スピヴァク。その他の登壇者には、アローラ&カルサディーラ、ココ・ファスコ、ロシアのアーティスト・コレクティブChto Delat (What is to be done?)といった名前がクレジットされている。
プレゼンテーションやパフォーマンスは後日ウェブサイトにアップされるので、楽しみにしたい。
(秋葉美知子)
バーチャル・シンクタンクCreatequity が第1回「アーツリサーチ賞」発表
3月27日に、Createquityが「アーツリサーチ賞」を創設したニュースを投稿したが、その選考結果が発表された。500を超える候補の中から、米国でノンプロフィット・マネジメントを研究するMirae Kimによる「Characteristics of Civically Engaged Nonprofit Arts Organizations: The Results of a National Survey(市民参画型アートNPOの特徴:全国調査結果から)」が最優秀賞に選ばれた。Kimは現在、ジョージア州立大学アンドリュー・ヤング政治学スクールの助教。
NPOはさまざまな役割(市民参画志向の役割とマーケット志向の役割の両方を含む)を果たしているが、市民参画志向型アートNPOはマーケット志向型アートNPOと対比してどのような特徴を持つかを、アートNPOディレクター21人へのインタビュー、全米から層化抽出した900を超えるアートNPOに対するサーベイ、これらのNPOのIRS(内国歳入庁)への税務申告、に基づいて考察したもの。その結果から、市民参画志向型アートNPOの特徴として以下の3点を導き出している。①幅広いネットワークを持つ、②“市民参画(civic engagement)”を、業界の規範(industry norm)として認識している、③NPOの法的立場を自覚している。また、NPOの自己収入と市民参画とは負の相関があること、政府による資金補助と市民参画志向の行動パターンとは相互関係がないことも見いだされたとしている。
この調査研究は、学術ジャーナル「Nonprofit and Voluntary Sector Quarterly」のVol.46(2017年)に掲載されている。残念ながら、フルテキストを自由にダウンロードすることはできないが、その概要はCreatequityのウェブサイトに紹介されている。
また、この最優秀賞に加え、次点(1)と特別賞(5)も同時に発表された。
(秋葉美知子)
HIV/エイズ・アクティビスト・グループ、ACT UPの運動は続く
ACT UP(AIDS Coalition to Unleash Power)といえば、SEAの歴史をたどる上で忘れてはならいアクティビスト・グループだ。エイズ危機に対する米国政府の無理解・無策への怒りから、1987年にニューヨークで結成。SILENCE=DEATH のロゴを使ったポスター、Tシャツ、バッジ、ネオンなど、アーティスト・コレクティブGran Furyが手掛けるグラフィックデザインや宣伝広告手法を駆使して、エイズについての正しい知識の伝播、政府や製薬会社への抗議行動などを展開し、エイズ治療薬の開発・普及を加速させる大きな力となった。ACT UPは現在も、社会的弱者のニーズを汲んだヘルスケア・システム構築の緊急性を訴え続けている。
結成30周年を迎えたACT UPは、6月25日にニューヨークで行われたプライド・マーチに参加し、「メディケイド」「オバマケア」「ライアン・ホワイト・ケア・アクト」「PEPFAR(大統領エイズ救済緊急計画)」といったトランプ政権下で危機に瀕している医療保険制度やエイズに関連する公的支援の名称を記した黒い棺をメンバーがかついで行進した。
一方、ニューヨーク市立博物館では、10月22日まで「AIDS at Home: Art and Everyday Activism」と題する展覧会が開かれている。「介護」「住居」「家族」の3つの視点から、患者の私的生活を見つめ、支えたアーティスト20余人による絵画、写真、ビデオ作品や、アクティビストの活動記録などを、30年のスパンで展示している。エイズ禍であらわになった社会の課題はまだまだ終わっていない。
(秋葉美知子)
英国アーツカウンシルによるアート・クオリティ数値評価導入が失速しているわけは?
昨年10月22日の投稿で、英国アーツカウンシル(ACE)は、年額25万ポンド(約3,600万円)以上の補助金を支給しているメジャーな芸術文化団体(National Portfolio OrganisationsとMajor Partner Museums)に対し、その団体が行う演劇や音楽の公演や美術展などの個々のプロダクションについて、共通のコンピュータ・ソフトを使ったクオリティ評価を義務化し、今年の4月から導入予定と書いた。この施策に対しては、そもそも芸術的クオリティは数値で計測できるのか、ということから、オーウェル流の監視システムだ、成績表をつくって補助金支給の判断基準にするのではないか、評価項目が包括的すぎて意味がないなど、さまざまな批判の声があがっていた。
しかし、いまだにこの事業を請け負う業者の入札結果も発表されず、計画は立ち往生しているという。その理由は、内容の是非ではなく、業者の入札方法が、公的予算を使ってこの評価システムの開発とトライアルを行ったコンサルタントの会社が圧倒的に有利になるような仕組みで、EUの調達ルールに抵触するということらしい。英国にも、「〇〇ありき」を疑われる選考プロセスがあるようだ。
参考記事 Quality Metrics stalled as ACE falls foul of procurement rules
(秋葉美知子)
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